青色オード・ミー

腐女子が学級会などに言及するブログです。

絵描きそれぞれに絵の癖があるように、字書きにも文章の癖があるという話

 文章を読んだり、書いたりする人にとっては当たり前の話ではあるが、文章の癖というのは絵の癖のように人によって全然違うものである。

 絵描きの場合には絵柄と呼ばれるそれは、文章の場合には文体と呼ぶのが正しい日本語のように思われる。

 文章には癖がある。それも如実に出る。絵柄と同じぐらい人によって異なり、絵柄と同じぐらい「今までに読み書きしたもの」によって影響を受ける。同じテーマ(キャラクター)でイラストを描き、誰がどのイラストを描いたのか予想する企画のようなものを目にしたことがある人もいるだろうが、その字書きバージョンも世の中に存在している。もっとも、字書きの場合には同じカップリング同じテーマ(あるいはタイトル)で話を作ろうとも、ストーリーの組み立てからして異なるため、どちらかというとそのネタの違いに目が付きやすいが、文体も全く異なる。

 絵描きがそこまで通ってきたジャンルによって、「少女漫画がバイブルだった」「男性向けエロ漫画を通ってきた」「萌え絵が得意」「筋肉ゴリゴリの少年漫画畑で育ってきた」など絵柄に反映されるのが見て取れるように、字書きの文体にもその人が、今まで読んできた文学、文章を推測することができるほどにまでに癖がそのまま文章に出ていたりもする。

 またジャンルによっても好まれる文章は違うもので、字書きによってはジャンルを移動するごとに文章が変わるような人もいる。冒険譚と、恋愛小説では文章の色が違うように。でもそこにある文章のリズムのようなものは変わっていなかったりして、それもまた面白い。

 こんな記事をわざわざ読んでくれる人は文章を読むのをあまり苦に感じないタイプの人だろう、という予想はあるが、よく「小説は読みづらいから漫画しか読まない」という人がいる。二次創作において、漫画やイラストの件数は多くても小説の投稿数が少なかったり、またついているブックマークの数に天と地ほどの差があったりする。ブックマーク数の格差があるのは仕方がないことだが、良作の小説にブックマーク数が少ないのは読者として切ない気持ちになる。

 よく、漫画に対しては「絵柄が合わなくて読めなかった」「絵柄が好きじゃなくてハマれなかった」という言葉を聞くことがある。それは、実際問題人の好みだし、絵が好きじゃなければ評価ができないということはあるだろう。でも反対に、「絵柄がすごい好みだからめちゃくちゃ好き」ということも起きているはずだ。

 文章にも、それはあると思う。

 文字を読むのがそんなに好きじゃないという人もいるとは思う。でも、漫画も文字数としては結構多い。文字を読むのが苦手だと感じた原因はそもそも何だったか? 学校で押し付けられた国語の教科書なのか、それとも読書感想文を書くためだけに読んだ文学だったのか。自分が好きだと思って読んだ文章は本当に無いだろうか? 小さいころに読んだ絵本は?

 もしかしたら、文章が苦手だと思っている人は、その時に読んだ文体が合わなかっただけかもしれない。好きな作品の二次創作なら読めるかもしれない。さらに、二次創作を書いている人達の中でも文体は全く異なる。一度読んでみてダメでも、他の字書きの作品なら面白く読めるかもしれない。字が書いてある文字列そのものを読むことが苦手なのではなく、前に読んだ文章の文体、つまりは絵でいうところの絵柄が好みじゃなくて好きになれなかっただけかもしれない。そう思って、他の作品も読んでみて欲しい。もっと、小説を読む人の人口が増えて欲しい。

 そこまでして苦手な小説を読まなくても、漫画で二次創作を楽しむからいい、と言われたそこまでだが。字書きとして、他人が書いた文章を読むのが好きで、二次創作の小説を読むのが大好きな一読者として、もっと読者が増えて、そして作品数が増えてくれればいいのに、という個人的な願望の話。